ざわざわ・・
「一体、なんで俺たち呼ばれたんだろう?」
「まさか、もう女王のサクリアが消え始めたんじゃあ・・!?」
「馬鹿やろうっ!んなわけねえだろっ!!」
「あんた達静かにしなさい。ここは聖殿なんだからねっ」
「オリヴィエ様・・。だって気になりません?」
「ん〜まぁ気にならないわけはないけどさ、すぐにわかることだしね〜。あ、ほら」
玉座の方に、女王アンジェリーク・リモージュと、補佐官ロザリアが現れる。
「陛下。今日は一体・・?」
ジュリアスにさえ、知らされてないようだ。
「え〜と。今日皆さんにあつまって頂いたのは、お願いがあるからです」
「お願い?」
「ええ。あなた達、土日に庭園にいる商人さんの事、知ってるでしょう?」
「あ、あの緑の髪でサングラスかけてて、かわった話し方をする・・?」
「そうよ。その彼の事なんだけど。彼ね、あさって誕生日らしいのよ。
それで、いつもお世話になってるし、みんなでプレゼントを送ろうと思って・・」
「プレゼントですか・・?しかし彼は・・」
商人の正体を知っているらしい、ジュリアスは、そこで言葉を止める。
「そうなの。その彼にあげるプレゼントは、普通のものじゃだめなの。
それで・・ね、ロザリア」
「今度聖地に設置される、遊園地をご存知でしょう?
あそこを、ちょっとオープン前に貸していただきますの」
「遊園地!?なんでまた・・・」
「彼、絶叫マシーンやバンジージャンプが大好きらしいですの。だからですわ」
「だからですわって・・。お言葉ですけど、それに俺たちにどういう関係が・・?」
「あなた達には、そこでバイトをしていただきます」
・・・その言葉に、一瞬沈黙が訪れる・・。そして・・
「ええ!?バイト・・!?」
「ちょっと待ってくださいっ!なんでバイトなんか・・!?」
「まだオープンしてないから、従業員がいないのよ」
「んなもん、雇えばいいだろう!!」
「あ〜。ゼフェル、陛下になんて口の聞き方を・・」
「うるせえ、ルヴァは黙ってろ!」
「それがねぇ・・お金がないのよ・・。遊園地を貸しきったのも、
女王陛下の権限をつかったしね〜」
そんな所につかっていいものなんだろうか・・女王の権限・・。
「とにかく、ぜってぇーーに、嫌だぜっ!!」
「陛下!私もです、守護聖がバイトなどという・・!」
「あ〜。私もできればやりたくないですねぇ〜。読みたい本も溜まってるし・・」
「私も、ハープの演奏会が・・」
「お嬢ちゃんっ!・・いや、女王陛下。あさってだけは、困るぜ!」
きっとデートの約束でも、あるのだろう。
「・・嫌だな・・」
「え、えーと・・僕もお花のせわしなきゃ・・」
「化粧品買いに行く予定・・」
「俺、その日はランニングで聖地一周の予定だったんですけど・・」
口々に、拒否の言葉を漏らす。
「ゼフェル。めったに手に入れられない、機械を手に入れられたのは、誰のおかげかしら・・?」
「う゛っ!」
「ジュリアス、あなたの自慢のチェス板は誰が買ってきてくれたの・・?」
「そ、それは・・」
「ルヴァ。珍しい本を、いつも持ってきてくれてるのは・・?」
「あー・・・」
「リュミエール。あなたのハーブが病気で枯れかけた時、
特効薬を探し出してくれたのは、誰だったかしら?」
「う・・」
「オスカー。あなたがあんなに欲しがっていた、アレ・・。
見つけてくれたのは、誰だったの・・?」
「お、お嬢ちゃん・・!?」
「クラヴィス。あなたの水晶玉・・白檀の扇・・それはどうして、手に入れたの・・?」
「・・・」
「マルセル。花の種・・」
「あ・・」
「オリヴィエ、わかってるわね?」
「あーはいはい!」
「ランディ?」
「はい・・」
だんだんセリフが短くなってくるのが、みそ・・である。
ランディにいたっては、名前だけだったりする(笑)
それにしても、チャーリーの顔の広さには、恐れ入ったものである。
それに勝るのが、女王陛下アンジェリーク・リモージュの情報量のすごさだ。
きっと、全員の弱みを握っていたりするのだろう(爆)
「詳しい事は、明日現地にて説明しますわ。では、解散」
心の中に、少々の不満を持ちつつも、全員ぱらぱら・・と帰っていった。
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